算定基礎届の書き方完全ガイド | 記入例・注意点・提出方法を詳しく解説
算定基礎届の正しい書き方を専門家が詳しく解説します。70歳以上の従業員、総支給額の記入方法、途中入社・育休中の特殊ケース、訂正方法まで実例付きで分かりやすく説明します。
算定基礎届とは
算定基礎届(正式名称:被保険者報酬月額算定基礎届)は、厚生年金保険料と健康保険料の計算基準となる標準報酬月額を決定するために、毎年7月に年金事務所に提出する重要な書類です。
算定基礎届の目的
- 4月、5月、6月の報酬月額の平均を算出
- 9月から翌年8月までの標準報酬月額を決定
- 社会保険料の正確な計算基準を設定
提出対象者と期限
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提出対象 | 7月1日現在の全被保険者(70歳以上被用者を含む) |
| 提出期限 | 毎年7月1日~7月10日 |
| 提出先 | 管轄の年金事務所 |
| 算定対象期間 | 4月、5月、6月の3ヶ月間 |
基本的な書き方
算定基礎届の記入は正確性が重要です。以下の基本的な記入方法を理解して、間違いのない書類作成を心がけましょう。
記入前の準備
必要な書類
- 算定基礎届(様式第5号)
- 4月、5月、6月の賃金台帳
- 出勤簿またはタイムカード
- 就業規則(賃金規程)
記入時の注意点
- 黒のボールペンまたは万年筆を使用
- 修正液・修正テープは使用不可
- 数字は算用数字で記入
- 金額は円単位で記入(銭単位切り捨て)
記入項目の詳細
| 記入欄 | 記入内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 被保険者整理番号 | 会社で管理している番号 | 健康保険証に記載されている番号 |
| 被保険者番号 | 年金手帳に記載の番号 | 10桁の数字(ハイフンなし) |
| 氏名 | 被保険者の氏名 | 戸籍上の正式な氏名を記入 |
| 生年月日 | 西暦で記入 | 年号ではなく西暦を使用 |
| 性別 | 男・女のいずれかに○ | 戸籍上の性別を記入 |
総支給額の記入方法
算定基礎届で最も重要なのが総支給額の正確な記入です。含める項目と除外する項目を明確に理解しましょう。
含める項目
- 基本給:月額給与の基本部分
- 諸手当:役職手当、家族手当、住宅手当など
- 残業代:時間外労働に対する割増賃金
- 通勤手当:定期券代、ガソリン代など
- 食事手当:現金支給分
- 宿直手当:宿直勤務に対する手当
除外する項目
- 賞与:年3回以下の賞与・ボーナス
- 退職金:退職時の一時金
- 出張旅費:実費弁償的な支給
- 見舞金:慶弔見舞金など
- 現物給与:食事、住宅の現物支給
- 年4回以上の賞与:四半期賞与など
支払基礎日数の重要性
各月の支払基礎日数が17日未満の月は算定対象から除外されます。ただし、短時間労働者の場合は11日未満で除外となります。正確な出勤日数の把握が重要です。
70歳以上の記入例
70歳以上の従業員については、厚生年金保険の被保険者ではありませんが、70歳以上被用者として算定基礎届の提出が必要です。
70歳以上被用者の特徴
対象者
- 70歳に達した日以降も継続して勤務
- 厚生年金保険の適用事業所に勤務
- 一般被保険者と同様の労働条件
記入上の注意点
- 健康保険のみの算定
- 厚生年金保険料は徴収されない
- 標準報酬月額は健康保険料計算に使用
記入例:75歳従業員の場合
| 項目 | 記入内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 被保険者区分 | 「70歳以上被用者」に○ | 必ず該当欄にマーク |
| 4月支給額 | 280,000円 | 基本給+諸手当 |
| 5月支給額 | 285,000円 | 残業代含む |
| 6月支給額 | 275,000円 | 通勤手当含む |
| 平均額 | 280,000円 | 3ヶ月平均 |
途中入社の記入例
算定対象期間中(4月~6月)に入社した従業員の算定基礎届は、入社月以降の報酬で算定します。
途中入社者の算定ルール
- 入社月から6月までの報酬で算定
- 各月の支払基礎日数が17日以上必要
- 入社月が6月の場合は6月のみで算定
- 支払基礎日数不足の月は除外
記入例:5月15日入社の場合
| 月 | 支給額 | 支払基礎日数 | 算定対象 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 4月 | - | - | 対象外 | 入社前 |
| 5月 | 120,000円 | 12日 | 対象外 | 17日未満 |
| 6月 | 250,000円 | 22日 | 対象 | 算定基礎 |
この場合の処理
6月のみで算定を行い、標準報酬月額を決定します。算定月数が1ヶ月のみでも有効です。
育休中の書き方
育児休業中の従業員については、特別な取り扱いがあります。育児休業等終了時報酬月額変更届との関係も理解しておきましょう。
育休中の算定基礎届
基本的な考え方
- 育休中でも被保険者資格は継続
- 無給の場合は報酬月額0円で記入
- 部分的に給与支給がある場合は実額記入
- 育児休業給付金は報酬に含めない
欠勤控除がある場合
記入方法
- 基本給から欠勤控除額を差し引く
- 実際に支給された金額を記入
- 支払基礎日数は実出勤日数
- 17日未満の月は算定対象外
記入例:育休中で部分的に給与支給
| 月 | 基本給 | 欠勤控除 | 実支給額 | 支払基礎日数 | 算定対象 |
|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 200,000円 | 150,000円 | 50,000円 | 8日 | 対象外 |
| 5月 | 200,000円 | 200,000円 | 0円 | 0日 | 対象外 |
| 6月 | 200,000円 | 200,000円 | 0円 | 0日 | 対象外 |
この場合の処理:算定対象月がないため、従前の標準報酬月額を継続使用します。
訂正の記入例
算定基礎届に記入ミスがあった場合の正しい訂正方法を説明します。修正液や修正テープは使用できないため、適切な訂正方法を覚えておきましょう。
訂正の基本ルール
- 二重線で消去:間違った箇所に二重線を引く
- 正しい内容を記入:近くの空欄に正しい内容を記入
- 訂正印を押印:会社の印鑑を押印
- 修正液等は使用禁止:修正液・修正テープは不可
訂正が多い場合
訂正箇所が多数ある場合は、新しい用紙に書き直すことをお勧めします。
訂正例:支給額の間違い
※実際の書類では、間違った数字に二重線を引き、正しい数字を記入して訂正印を押印します。
提出方法とダウンロード
算定基礎届の提出方法は複数あります。会社の規模や状況に応じて最適な方法を選択しましょう。
電子申請
e-Govを利用したオンライン提出
- 24時間受付可能
- 郵送費不要
- 電子証明書が必要
- 大量処理に適している
郵送提出
年金事務所への郵送による提出
- 簡易書留推奨
- 期限内必着
- 返信用封筒同封
- 最も一般的な方法
窓口提出
年金事務所窓口での直接提出
- 即座に受付確認
- 不備があれば即座に修正
- 営業時間内のみ
- 少数の場合に適している
算定基礎届のダウンロード
入手方法
- 日本年金機構ホームページ:最新の様式をダウンロード可能
- 年金事務所:窓口で用紙を受け取り
- 郵送:事前に年金事務所から送付される場合もあり
- 社会保険労務士:顧問社労士から提供
| 提出方法 | メリット | デメリット | 適用規模 |
|---|---|---|---|
| 電子申請 | 効率的、24時間対応 | 初期設定が複雑 | 大企業向け |
| 郵送 | 簡単、確実 | 郵送費、時間要 | 中小企業向け |
| 窓口 | 即座に確認 | 営業時間制限 | 小規模企業向け |
よくある間違いと注意点
算定基礎届でよく発生する間違いを事前に把握し、正確な書類作成を心がけましょう。
よくある間違い
- 支払基礎日数の計算ミス
有給休暇日数を含めない、欠勤日数の計算間違い
- 賞与の含め方の間違い
年4回以上の賞与を除外しない
- 通勤手当の取り扱い
非課税限度額を超える部分の処理
- 現物給与の評価
食事代、住宅費の現物評価額
- 70歳以上の区分間違い
被保険者区分の選択ミス
正確な記入のコツ
- 事前準備を徹底
賃金台帳、出勤簿を事前に整理
- 計算の再確認
電卓で複数回計算して確認
- 記入例を参考
年金機構の記入例を必ず確認
- 社労士への相談
複雑なケースは専門家に相談
- 提出前の最終チェック
記入漏れ、計算ミスの最終確認
提出期限の重要性
算定基礎届の提出期限(7月10日)を過ぎると、標準報酬月額の決定が遅れ、保険料の計算に影響が出る可能性があります。余裕を持った準備と提出を心がけましょう。
まとめ
算定基礎届の正確な記入は、従業員の社会保険料計算の基礎となる重要な業務です。本記事で解説した以下のポイントを押さえて、適切な書類作成を行いましょう。
記入時の重要ポイント
- 4月、5月、6月の正確な報酬額を記入
- 支払基礎日数17日以上の月のみ算定対象
- 70歳以上は健康保険のみの算定
- 途中入社者は入社月以降で算定
提出時の注意事項
- 提出期限は7月10日まで
- 電子申請、郵送、窓口提出が可能
- 訂正は二重線と訂正印で対応
- 不明点は年金事務所に確認
よくある質問(FAQ)
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